ツバヒラタケ

 


生駒山 北東斜面 標高350m付近
杉植林の杉にキツツキがあけた孔に出ていたキノコ

(立ち枯れの木と思っていたが、現地で再度確認すると生きている杉の幹で地上2m付近)
 

 

傘径46mmで縁が内側に巻きこんでいる
 柄の長さ50mm

薄いすぐに消えてしましそうなツバがあり、ヒダは長く垂生。
ヒダの柄との境目は黄色い。小襞がある。


2019.11.17 生駒山



胞子のサイズは11〜15μm

胞子



担子器

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ご無理をお願いし長澤栄史先生におたずねしたところ、快く、ご丁寧な回答をくださりました。
一年ほど、あれこれ悩んでいたキノコの同定ができありがたいことです。
ご回答をくださった長澤先生に感謝いたします。


2020.10.27

---- 若干の経緯 ----

1 ツバマツオウジ? 

  掲載種の多い図鑑で絵合わせするとツバマツオウジの可能性があり調べるが、
胞子サイズをはじめ合致しない点が多々ある(「北陸のきのこ」のツバマツオウジ(仮)
=Neolentinus sp.(Lentinus lepideus)では、胞子は7.5〜12μmとあり生駒のもの(11〜15μm)。


2 ツバヒラタケ?

 フトした折に見た図鑑でツバヒラタケに似ている。
しかし、手元の図鑑の記載は下記の点で違和感があり、同定は頓挫。

 ・北海道に分布(「原色日本新菌類図鑑」)
 ・広葉樹(北海道のキノコ」、「東北のきのこ図鑑」、「青森県産きのこ図鑑」)に発生
 ・大型で肉厚(「東北のきのこ図鑑」)
 ・傘:通常15cm位(「青森県産きのこ図鑑」)

3 ツバヒラタケ(Pleurotus dryinus)のようだ 
 

 何気なく、「FUNGI SWITZERLAND」でPleurotus dryinusを見ると、
「Habitat:In forests and parks,on living ,usually dameged trunks of hardwoods and conifers」と
針葉樹にも発生するとされている。しかも、キノコのサイズなど生駒で見たものと概ね特徴が合致しています。

 Pleurotus dryinusで検索した英語版のWikipediaでは
「 It occurs especially on oak (from which it derives its name),
but also on beech, other broad-leaved trees, and occasionally on conifers.」
と時には針葉樹にも発生する旨の記載がある。

4 ツバヒラタケ

 ご無理をお願いし長澤栄史先生におたずねしたところ、こころよく次のような回答をくださりました。

「---ご賢察の通りツバヒラタケで結構だと思います。確かに一般的には広葉樹に発生しますが、
枯死した針葉樹に発生してもおかしくはありません
(自然では通常広葉樹に生える食用きのこの多くが、スギなどの針葉樹のおが屑を用いて栽培することが可能です)。
本菌は本来北方性のきのこと考えられますが、添付しました資料のように広島県でも見つかっています。
しかし、西日本での発生は稀なように思われます。また、今まで自然での発生は広葉樹ですので、
今回の例は稀なケースと思われ、大変興味深く思いました。
このきのこの特徴はつばを持つ以外に、分生子を柄の基部表面に形成するという大きな特徴があります。
お送りいただいた写真の柄の基部の分が黒っぽく見えていますが、この部分が分生子が形成されている所で、
暗緑色、粉状を呈します。もし標本がお手元にあればこの部分を顕微鏡で観察してみてください。
資料にあるような球状の細胞(分生子)が観察できると思います。---」

 
一年がかりで、気になっていた課題が一つ解決しホットします。ありがたいことです。

 標本は手元にはなく、分生子の確認はできません。
再度、現物に出逢えるといいのですが。足を運ぶしかないですね。


ツバヒラタケ
 
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